もりぞー

赤線地帯のもりぞーのレビュー・感想・評価

赤線地帯(1956年製作の映画)
4.2
「赤線地帯」を観る。
NHKBSで。溝口健二監督作品は初めて。
そして溝口監督の遺作になるんですね。
1956年の作品でモノクロです。
赤線とは戦前から戦後の売春防止法施行までの間、
風俗営業が許可された特例区のことです。
オープニングから情緒を不安にさせる音楽で始まり、
何か後味の悪い作品じゃないのかと予感させます。
が、結果を先に言えば、すごく面白かったです。

吉原にある特飲店(売春がメインの飲食店)「夢の里」を舞台にした、飛んでる女ミッキー、店の一番人気で銭ゲバのやすみ、インテリで陰気な亭主持ちのハナエ、一人息子と同居を夢見るママさん娼婦のゆめこ、普通の主婦になりたいより子の6人の娼婦たちの群像劇です。

女優達の演技はそれはもう素晴らしいです。
他の映画ではあんまり感じたことはないのですが、
この映画で初めて「長回し」がすごく効果的に感じました。
映画にライブ感がプラスされるのでしょうかね。
女性たちの生き生きとした姿が増幅されたような感じがします。

言っちゃなんですが、正直期待してなかったので、
思った以上に面白かったです。
それを差し引いてもいい作品だと思いますけどね。
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