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ビブリア古書堂の事件手帖のodyssのレビュー・感想・評価

ビブリア古書堂の事件手帖(2018年製作の映画)
2.0
【がっかり】

期待した映画だったのですが、失望しました。
期待したのは、一つには古書をめぐるミステリーだということと、もう一つは三島有紀子監督作品だということ。『繕い裁つ人』みたいな作品を期待したわけです。

しかし、古書店の雰囲気などはさておき、ミステリー映画として見た場合、薄味だと言わざるを得ない。
特に映画全体の根幹をなす過去と現在の二つの事件が、ミステリーとしてはお粗末すぎる。
過去のそれについて言えば、例えば祖母とその夫(祖父)の関係はどうだったのか、ほとんど触れられていません。そこが大事なところだと思うんですけどね。

現在のそれについて言えば、関係者が少ないから途中で犯人が分かってしまうし、最後の立ち回りはドサ回りの芝居みたい。全国で公開する映画のレベルからはほど遠い展開です。

『繕い裁つ人』での三島監督は丁寧な作品作りで好感が持てたのですが、その後、『少女』『幼な子われらに生まれ』と、細部の詰めが甘い作品が続きました。本作品もその悪いほうの面が出てしまったようです。

そもそも本作はミステリーですから、映像だけでなく、筋書の細かい部分にこだわらないと観客を納得させることはできません。

脚本に対する厳しい目を、三島監督には養って欲しいもの。

この年の映画で「期待したのに失望」という点では、『恋は雨上がりのように』と並びます。残念。
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