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アンダーウォーターのJIZEのレビュー・感想・評価

アンダーウォーター(2020年製作の映画)
4.1
マリアナ海溝にある海面下7マイル(約11264m)の深海探査基地を舞台に海底地震によって破壊され内部に取り残された施設内で働く技術者たちの運命を描いた海洋スリラー映画‼︎"20世紀フォックス名義"で配給された最後の映画、なんですね。おもに海底版『プロメテウス(2012年)』だコレ。また体裁も例えば『ディープ・ブルー(1999年)』のような"生存者たちがあれやこれやと事態の異常さを呑み込めないままに未知の何者かに翻弄され犠牲にあう"定型プロットが組まれている。本作は主演クリステン・スチュワートの頭をほぼ丸刈りに仕上げて大奮闘する芝居から、ジャンル映画ならではの既視感を払拭させ、海洋サスペンスとしても既存の平均値を塗り替えたように思う。とくに冒頭でスチュワート演じるノラ・プライスが更衣室で何気に天井を見上げると水滴が一粒落ちてきて、の崩壊が始まるシークエンスは最初からクライマックスを予想させ白熱する。また前半と後半でパニックからややヒューマンへ移行する組み合わせも過去のジャンル映画から離脱する心意気だったようにもとれる。最初の犠牲者がでる一幕でも非常にショッキングで仲間想いゆえの関係性からあの行動にでてしまう術はやり切れない。海底用の防護服のとくにヘルメットの脆弱性を怖いほど思い知った。。また中盤で重大な人物がシナリオから離脱するくだりも主人公ノラ自身の真価が重く問われる一幕だった。最後の主人公のあの決断は個人的にアリだと思いました。シナリオの既視性と根源の陳腐さは否めないが、スチュワートの熱演共々に年間数本あるかないかの本作のような興奮が押し寄せるジャンル映画を、ぜひ梅雨の暑さがジメッと降りかかるこの時期に楽しみつつ浴びてもらいたい作品である。
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