「自分よりバカなヤツを観るとみんな安心するじゃないですか?」
これほど強烈な毒気のある台詞は今年観た映画には無かった。
この映画を観る「観客」や、延いては本作の様な「けしからん」映画やその他創作物に眉をひそめる世間やら社会とやらに放たれた痛烈な宣戦布告。
他人事のつもりでいたら大間違い。
大笑いしながらも、背筋も凍る最高のブラックコメディ。
まさに「全員死刑」。
かなり脚色されてるではあろうけれど、紛れなりにも実在の事件とは思えないほど、主人公一家の呆れ返るほど粗雑な手口。
しかし、何かが狂ってしまった人間ってのは、人道やら論理やら、そんなものは「面倒臭く」なってしまうんだろうな。
面倒臭さが「狂い」のはじまり、と私の大好きな平山夢明大先生も仰っていたなぁと鑑賞中考えていたら、まさに平山先生がパンフレットに寄稿しているというw
寡聞にして小林監督の事は初めて知りました。正直、その粗っぽい映画の作り方は好みでは無いのですが、インパクトの強い絵作りが強烈。トンデモない才能。良い意味で丸くならず、どんどんトンがった映画をバンバン撮って欲しい。