春21号

全員死刑の春21号のレビュー・感想・評価

全員死刑(2017年製作の映画)
4.0
なかなか良かったよ
もっとハイテンションなものかと思っていたらすっごくクールネスな作品で驚いた。
物語上のトーンは抑えられていたがキャラがしっかり立っていてキャラクターでもって話が展開していくのが良かった。
演出的に超現実的なものもあるんだけどちゃんと意味のあるもので観ていて違和感は無かった
特に主人公の視点になるシーンはカメラワーク含め気合が入りまくっていて"黒い影"や病院のシーンなど凄く良かった。
人を殺して呪われていくってのを小綺麗にまとめず歪に表現できていたと思う。

やや小林監督特有のこれみょうがしな毒っ気が鼻に付くがそれも他の作品より抑えられていて良いスパイスになっていたと思う。
正直この部分がもうちょっとあれば個人的にはキツかったと思う。

これぐらいの映画をもっと観たいかも
別に脚本も上手くないしかといってかつての暴力映画のような勢いもない
ひたすら乾いていて突き放してくる。
でもただでは返してくれない 舐めていたら腹にドスを喰らうような衝撃を与えてくれる。この感じ

日本映画史でも屈指の同情の余地のない男が小さな地獄巡りを繰り広げていく
他の犯罪映画に比べて実にミニマムな内容だがそれが小林監督の作家性に見事にマッチしていて忘れられない一作となっている。
春21号

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