2017年に公開された小林勇貴監督初の商業作品。
2004年の大牟田4人殺害事件を題材とした鈴木智彦の著書『我が一家全員死刑』が原作とされている本作は、財産強奪を理由にひたすら陰惨な殺人の様子が描かれますが、同時に全編に渡る独特かつ斬新な語り口や人物同士の滑稽なやり取りにより不謹慎にも笑ってしまう、結末に至るまで独自のユーモアに溢れた作品でした。間宮祥太朗演じる主人公には会話や行動から垣間見える可愛げもあり、最低の殺人犯にも関わらず少なくとも観ている間は感情移入すらしてしまいます。
楽しめない、楽しむべきではないという意見も多くて当然だとは思いますが、本作は決して事件を美化している作品ではありませんし、とにかくこの逸脱した作りや登場人物の奇想天外ぶりから本作のバイオレンスでアナーキーな世界観そのものを堪能する事こそが楽しい作品だと思います。
もちろん最低最悪。あと実際は全然間宮くんみたいにカッコ良くない。