お塩

エジソンズ・ゲームのお塩のレビュー・感想・評価

エジソンズ・ゲーム(2019年製作の映画)
3.5
この映画のすごいところは「正義」も「悪」も描かなかったところ。

こういう映画は、視聴者を主人公側の視点に立たせ味方にした上で、敵との攻防戦を見守ると言うのがセオリーだと思う。

でもこの映画は、主人公であるエジソンを愛妻家に描いたと思ったら家庭を顧みない男に描いたり、「人を殺す道具は作らない」と人道的な人間に見せて裏で相手を貶める狡さも描く。

敵対しているウェスティングハウスも同様で、電球の作りを模倣し上手く逃げたと思えば曲がった手段を嫌う筋の通った人間のようにも思える。

エジソンズゲームというタイトルの割に、どちらの味方にも敵にも付きづらいような作りだ。

でも実際、人間とはそういった複雑さを必ずしも持ち合わせているし、真実とは常に多面的である。

この作品はそういう極めて微妙な立場や人間関係、敵とは味方とは何か、皆が信じる真実とはどう構築されていくのかを上手くバランスをとって描いているなと感じた。


それが面白いかどうかは別として。
お塩

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