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エジソンズ・ゲームのoukayukaのレビュー・感想・評価

エジソンズ・ゲーム(2019年製作の映画)
3.7
19世紀末のアメリカは、電力供給システムでエジソンの直流方式とウェスティングハウスの交流方式が争い、各地の陣取り合戦が行われていた。NYマンハッタンで大々的に始め先行したのはエジソンだったが、ウェスティングハウスが急速に巻き返していた。

直流は当時の技術では変圧器を作れず、電圧を上げられないため電力の損失が激しく送電距離が限定されてしまう。劣勢のエジソンはWHを複数の特許侵害で提訴。さらに「交流は死を招く」とWH社の発電機を馬につなぎ感電死させるというネガキャンまで行う。その上、交流の電気椅子による死刑執行を意味する「westinghouse」という動詞を広めることに成功。

当時、交流は照明には優れていたが動力にはまだうまく活用できず、その研究中に最大の協力者だったフランクリン・ポープが感電死してしまう。エジソンのネガキャンもあって、WHは会社売却の危機に陥る。
そんな折、エジソンと衝突しその元を離れていたニコラ・テスラが交流で稼働する誘導モーターを学会で発表。感銘を受けたウェスティングハウスは彼に協力を要請、タッグを組むに至る。

今後の運命を分けるシカゴ万博の電力供給システムの入札で両者が激突。生き残るのははたしてどちらか―。


商売敵は汚い手を使っても徹底的に叩き潰すエジソン先生のえげつなさ。とてもお子様が読む偉人伝には書けない内容。次に手掛けた映写機でも、あまりに特許の囲い込みがひどかったせいで映画産業がまるごと西海岸に避難し、ハリウッドができたのは有名な話。

電流戦争に破れたエジソンは、大株主のモルガンに Edison Electric Light の社長の座を追われ、社名からもその名を外されてそれが General Electric に。一方の Westinghouse Electric も20世紀末までに切り売りされて社名は消滅、最後に残った原子力部門は東芝が買収して大損失を出した。

百年以上の昔からビジネスの世界は諸行無常、盛者必衰なのだと思わされる映画だった。
あと余談だが、エジソンとその秘書の役者がドクター・ストレンジとスパイダーマンの組み合わせなのが個人的にツボだった。
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