アンド花火

南瓜とマヨネーズのアンド花火のレビュー・感想・評価

南瓜とマヨネーズ(2017年製作の映画)
3.9
「わたしは何をしてるんだろう…」
原作が描かれた90年代後半の特有な匂いと、その時代の27歳恋人同士の別れ際に漂う空気感に胸迫るものがあった。

早朝のライブハウスやクラブから出てきたあの感じ。気だるい街と朝の肌寒い風を感じながら駅まで歩くあの時間。恋や仕事や夢は自分が思い描いていた理想といつもどこかずれている。何かで誰かで自分を埋めていないと不安になる。
そんな時、ふと思うのだ。わたしは何をしているんだろう、わたしは何をしているのかわからない。って。もう恋の終わりがそこまで来ていることに本当は気がついているのに引き金を引けない。

どちらの男とも別れ、誰もいない部屋にひとり帰った時、相手を通して自分を満たす恋愛からやっと卒業する。そして過去の恋はその後の自分の糧となって昇華されていくのだ。もう、「ハギオ」って呼んで追いかけることもなく、セイちゃんの歌も泣かずに笑って聴けるようになるのだ。

最後のシーンが完璧すぎた。太賀の歌声良すぎる。構図やカットの演出も素晴らしい。登場人物すべての衣装も実に良かった。
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