ほおづき

空飛ぶタイヤのほおづきのレビュー・感想・評価

空飛ぶタイヤ(2018年製作の映画)
4.0
走行中のトレーラーのタイヤがはずれて、歩道を歩いていた母子に直撃したっていう実在の事件「横浜母子3人死傷事故」「三菱リコール隠し事件」をもとに描いた物語で『七つの会議』と同じ原作者、同じようなモチーフの作品。
個人的にはこちらの重くて暗くて一切コメディ感のない雰囲気のほうが問題意識があって好き。ただ好みの問題だけど。
もう少しエンターテイメント性あったほうがスコアも上がるだろうし、観る人も増えるとは思うけど・・・


作品だから大手の方の社長がめちゃくちゃわっるーい人に描かれてるけど、事実では苦渋の決断だったんじゃないのかなぁ・・・
大手ともなれば、消費者や末端のクレームなんかはうやむやにするために組織的に関所も多くしてるだろうけど、企業側としても世間を揺るがす問題が明るみになれば経営陣の保身どころの話じゃなく、何千何万の家族が路頭に彷徨う危険もある。主人公が社員の家族を守っているように、大手企業にも当たり前のようにその責任があるはずだから。

社員としても、そんなことにいちいち首突っ込んでも何のメリットもなくカロリーが高いだけだから、いちぬけピってなりそうだけど、出てくる人が結構みんな正義感が強くて驚く。
愛社精神ゆえの正義感もあるけど、やっぱり思ったのは、こういうときに家庭という守るもののない人達は強いなってことかなぁ・・・


ちなみに原作はだいぶ昔に読んでいてうる覚えだけど、主役が昔やんちゃしてたっぽそうなTHE田舎のワンマン社長って感じのぶきっちょなおじさんで、いちいちいろんなとこにつっかかってハラハラした覚えw、映画の長瀬さんにはなんか良くも悪くもあまりそんな印象を受けなかった。
漢気を見せるおやじという意味では両方ともかっこよい。