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ヘマヘマ:待っている時に歌をのharukapiのレビュー・感想・評価

4.0
大阪アジアン映画祭2017で鑑賞。
舞台となるブータンでは上映禁止の作品(理想郷を造るため、排除したいものはなにか?)。
海外の映画祭で上映されるだけあってレベル高い出来上がり。

森の奥深く、12年に一度の申年、秘密裏に風変わりな儀式が行われる。ルールは仮面をつけ、スカートを履き、性別や身元を隠すこと。それ以外は自由に過ごして良いが、ルールを破ると極刑が下される(ストーリーはフィクション)。
「誰でもないことが力を持つ」として、個性を無くすことが推奨される異様な仮面の閉鎖集団生活。「しきたりは昔と変わらない」と言いつつも、24年後の閉鎖世界は確実に変化を遂げている。携帯電話の異物感と、歌と踊りの西洋化。伝統が塗り替えられていく。


題名の「ヘマヘマ」は、long long agoもしくはonce upon a timeを意味して、「待っている間に」は死んでから生まれ変わるまでの間を指すらしい。この題名通り、作品の世界はチベット仏教における死から輪廻までの間「中有(バルド)」を中心に据えている。(実家が神道で、仏教詳しくないから鑑賞中は作品に出てくるこの言葉がよく掴めなかった…あと性の描き方にも意味があるの…?)

制作者は、アイデンティティの映画だと言っていた。現代では皆、デジタルマスクをかぶり複数の名前でログインしていると。仮面をかぶることによって、規律を飛び越えた自己表現をするのだと。何かメッセージが色々込められてそうで、他人と意見交換したいかんじの作品。

映像が美しいし(予想外!)、音楽も良いし、仮面もエキゾチック。飽きないストーリー展開に、想像力を引き立てられる内容。前回映画祭で観た「Big father, Small father, and Other stories」と同じく鑑賞したかいがある作品でもう一度観てみたい。

https://www.google.co.jp/amp/variety.com/2016/film/reviews/hema-hema-sing-me-a-song-while-i-wait-review-1201847570/amp/
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