チャーチルのごく短い時間(約1ヵ月)を切り取ったもので、ここがかれの政治人生のハイライトであろうことは、歴史を学んだ者としてはよくわかるのですけれど、どうしてもWW2の全体像や、英国が置かれていた立場などが鮮明に浮かび上がってくるというところまではゆかない憾みがある。
また、国王が親チャーチルに転じた経緯も描写されているとは言い難く、説得力を持ってストーリーが進んだという印象には結び付きにくい。
もちろんオールドマンの演技は素晴らしく、全体として佳作ではあるものの、やや消化不良の気配を感じないわけにはいかなかった。
せめてグレートブリテン島での空戦の描写があっても(終盤のカタルシス的には)よかったのではないか、と見終わってから感じたが、そういうナマな戦闘描写は極力避けるというのが、制作の方針であったのだろう。