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ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリーのみおこしのレビュー・感想・評価

4.0
新年あけましておめでとうございます!2021年もたくさんの映画を観られるように善処します!1作目はハリウッドを支えてきたとある夫婦のドキュメンタリー。

1950年代、運命的な恋に落ちて結婚したハロルド・マイケルソンとその妻リリアンは、ともに映画業界で働くことに。それぞれ絵コンテ担当と映画に必要な情報をまとめるリサーチ担当の職に就き、その後約50年にわたってハリウッドの名作の制作過程を支えることになるのだった。

これは映画好き、映画史マニアは必見の作品。『十戒』『卒業』『鳥』など、名匠が手掛けた有名作品の裏側にはこういった多くのプロフェッショナルのサポートがあったということを痛感。しかも2人ともキャリアの中でほとんどエンドロールにクレジットされていなかったとのこと。つまりこの映画を観なければずっと彼らの功績を確認できなかったってことですよね。改めてこのドキュメンタリーを作ってくださった制作陣に感謝するばかり!
まずハロルドが担っていた絵コンテ製作ですが、すべてのカメラ割りは監督が全て決めているのではなく、彼のように想像力豊かで絵も描ける担当がビジョンを可視化してくれているから成立するわけで。彼の創り上げたストーリーボードによって、”名シーン”が生まれていたことを知ってその偉大さに脱帽。なおさらクレジットされていないことが信じられません!
そしてリリアンが担当していた映画リサーチのお仕事も、これまた一般の人にとっては未知の世界。映画の脚本を読んで、例えばそれが特定の時代をテーマにした作品だったなら「この時代にはこのサービスが存在したか」「当時の人々はどんな服装をしていたか」など時代考証をして資料や素材を取り寄せたり、もし専門的な知識を要するお話だったらその道のプロに問い合わせて事実確認をしたり。リリアン本人がインタビューで「映画に"リアリティ"を与えるお仕事よ」と答えていたのですが、まさに彼女なくして映画は息づかないわけですね。私たちが映画の世界に没入できる最大の手助けをしてくれているのがこのお仕事なんだと学んで、また映画業界の奥深さを学んだのでした。

ただでさえ特殊かつ多忙な業界を夫婦間の強い絆と華麗なコンビネーションで切り抜けてきた2人。そんな彼らをアルフレッド・ヒッチコック、マイク・ニコルズ、メル・ブルックス、フランシス・フォード・コッポラなどの巨匠たちも信頼し、いつしかハリウッドになくてはならない存在に。まさに理想的な夫婦としての在り方に感銘を受けたし、こういう形すごく憧れるなぁと観終わった後も余韻に浸ってしまいました。
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