ななめまえ

ファースト・マンのななめまえのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.3
正直なところ、事前情報やレビューを拝見していてあまり期待をしていませんでしたが、良い意味で裏切られました。
期待せずとは言っても及第点を余裕で超えてくるデイミアン・チャゼル監督。若き天才はやはり次元が違います。
前半はやや退屈に感じられるものの、飛行シーンの臨場感は軽くトラウマになるほどリアルで、まるで重力がかかったように椅子から動けませんでした。
人類の未来を描く夢の船になるのか、犠牲の棺桶になるのか、自分自身が宇宙飛行士になったかのような気分を味わえますが、夢のようにフワフワ浮き立つ気持ちではありません。緊張や恐怖、葛藤。暗澹とした闇が確かに現実のものとして降りかかります。
本作の魅力はプロジェクトだけでなくニールをとりまく人間ドラマにあります。奥様役のクレア・フォイさんの演技が素晴らしい。
中盤からはずっと涙が止まりませんでした。圧倒的なものを前にした生理的な涙です。
口数の多くないアームストロング船長の内包された精神や生き様をまざまざと見せつけるライアン・ゴズリングの演技に脱帽しました。本当に素晴らしい役者さんです。

ラストはこれをどう終わらせるのかとおもいましたがやられました。
あそこで切るなんて…。
素晴らしい作品です。