やっぱりデミアンチャゼルってどヘンタイだなって
まずカメラですよ
なにあれどうやってんのっていう奇想天外なものばかり
点火時の揺れる場面とかサイコーでした
音響ですよ
船内とマシン的な音にハラハラさせられ月の無音にゾッとさせられ…
息を飲むってのはああいうことをいうんでしょうね
ところどころ差し込まれる音楽は彼らしさに溢れていたように思いますね
レコードの…タイトル忘れてしまったけれどアウトオブムーン、とか、あと白人が月に立つとかね
全然かっこよくないし、ロマンがないんです
描かれるのは苦悩と苦しみや悲しみが多くて、なんだか画面も暗め
エンタメ作品ではないんですよ
ニール アームストロングにクローズアップした伝記に近いもの
宇宙ものなのに宇宙空間の描写が少ない
映るのはずっと、船内ばかりです
中盤ロケットの回転が止まらなくなるシーンではその演出にまんまとしてやられ画面から目を離せませんでした
あの妙に高い音と上昇し続けるメーター、そしてどんどん加速していく機体ですよ
あの緊張感ったらもう、ね
いざ月に降り立つための扉を開けたときの無音演出もたまりませんでしたねー
主人公は冒頭で息子を失っていて、その悲しさをずっと根底に抱き続けていたんですね
研究や仕事に熱心になるのは、逃げのようにも見えました
監督はヒーロー譚ではなく1人の人間を撮りたかったと話していましたけど、その通り家族の描写がとても多かったですね
月で捨てたものに関しては、あれはアームストロング本人は誰にも教えなかったため取材から得た推測であのモノにしたそうですが、あれでようやく呪いから解放されたといったところでしょうか
ラストシーン
台詞なしのガラス越しで、主人公は妻に投げキスをします
そして互いの手をガラスに重ねて終わるんですけど、なんですかね、僕はあそこにアームストロング本人がようやく戻ってきたような気になりました
あのキスには贖罪とか安堵とか、愛する気持ちや帰還した喜びとか、そういうものを感じます
そっと閉じる幕に、僕の胸はたしかに打たれました
地味で抑圧されてすこし長くて、あるいは少し長すぎるかもしれません
だからといってこの映画をスルーするのは大間違いです
冒頭のシーンから心を掴まれること請け合いです