観終えたばかりで正直まだ消化しきれていない部分もあるが、傑出した作品だと思う。もう監督の目線が偏りまくりで歴史的な英雄の冒険譚だと勘違いした観客がつまらない、金返せとか言ってるのがある意味で痛快だったりする。
娘を失ったニールの月面着陸計画への参加と没入は心にポッカリと空いた大き過ぎる穴を埋めるため、自身を苦しめる喪失感から逃れる為の代替行為なのだ。
だから妻や2人の息子と時間を共にしても何かぎこちなく心ここに在らずといった感が拭えないでいた。
でも見えない恐怖に怖れつつ戦っているのは家族も同じだった。
ニールは広大で荒涼とした無音の月面に立ち涙を流す。去来するのは失った娘への想いか、自分には何も無い虚無感からか、多くの犠牲を払い辿り着いた月面はニールの孤独感をさらに増幅させるものだったかもしれない。
そういう内省的な映画なんである。
冒頭X15とジェミニ8号、アポロ11号〜月面着陸シーンはIMAXの方が迫力あるけど、ドラマ的には通常の2Dでも楽しめると思う。
因みに「ライトスタッフ」好きの僕は、ガス・グリソムが火災事故で亡くなるシーンを観るのが辛かったよ。
