ひな子

ファースト・マンのひな子のレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
5.0
私はこの映画を観て、これは愛娘の死というトラウマを抱えたニール(というある一人の男)の話だと感じた。鑑賞後にパンフレットを読むと、ニールを演じたゴズリングも本作のテーマを喪失と捉えていることが分かった。月に着陸した感動のシーンでも、仲間と喜びを分かち合うシーンでもなく、検疫所(?)で窓越しに見つめ合うニールと妻ジャネットのシーンで終わったことが、とても興味深い。

アポロ計画前から時系列を並べて物語は進み、宇宙船に入った、入る前の緊張感の伝わるカメラの動き、特殊な家庭の事情、一つ一つの出来事を細かく描き、繊細で言葉以上に訴えかけてくるものがあった。

インターステラーやメッセージよりかは、2001年宇宙の旅に似たタイプの映画と感じ、キューブリックの撮影技法のオマージュとも思えるシーンがあった。またシーンによってフィルムを使いこなしており、監督チャゼルはもちろんのこと、ララランドや世界にひとつだけのプレイブックでおなじみの撮影監督の技術には圧巻である。
賛否両論ある映画らしいのだが、私は個人的にとても素晴らしい作品だと思った。
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