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ファースト・マンのmrpinkのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.0
人類で初めて月面に降り立ち、地球に生還したニール・アームストロングの半生を描いている。

本作が魅力的なのは、今最も力のある監督のひとりであるデイミアン・チャゼルと、微かな表情の変化で感情を巧みに表現できるライアン・ゴズリングがタッグを組んでいるからだ。史実を題材にしながら、片時も観客を飽きさせない丁寧な映画づくりがそこにあった。

本作を見て改めて感じたのは、「米ソの宇宙開発競争とはなんだったのか」という疑問だ。人類の未来の探求だったかも知れないが、それには多額の投資と、多くの犠牲が伴った。冷戦下の国威高揚の道具だったとしたら、あまりに悲しい。なぜなら本作が、多くの時間を割き、月を目指した男たちは、皆誰かの夫であり、皆誰かの親だったという視点で描かれるからだ。

戦時でもないのに、家族にもう二度と会えない覚悟なしには成し得ない、ミッションの難しさと切なさ。

監督は感情的にも描けたはずだが、むしろ感情を遠ざけるように淡々と演出していた。
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