アポロに乗り込むシーンの、なんて寂しくロマンチックだったこと。とても外界と遮断されている。
目に映るのは巨大なロケット、驚喜するマスコミ、人々の喝采、華やかな国家プロジェクト。
対して聞こえるのはニールの静かな呼吸、隔絶されて小さな音でしか届かない歓声。悲しみに満ちた沈鬱な音楽。
これまで宇宙飛行士がヒーローとして描かれ、夢のある世界観で宇宙を描いてきたアメリカ的ご都合主義の幻想。そういうの、もうやめない?とでも言いたげな、ひたすらクールにリアルに迫ろうとした作品だった。こういう気分は今の時代の感覚なんだろうな。お気楽な80年代は、二度と帰ってこない。