Ninico

ファースト・マンのNinicoのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
3.7
「セッション」も「ラ・ラ・ランド」も、監督が1つのテーマに対して偏執的な拘りを見せて丁寧に作り込んでいる感じがとても好きで、そういう監督の最新作ということで期待半分、不安半分で観てみた。

ある程度予想はしていたが、ここまで徹底的に「月に行ったよ。凄かったんだ」を描写するとは。
映画の筋としては基本的にそれだけではあるのだが、月に行く父親と家族との関係や妻の思いの描写が、さりげないのだけど実に味のある深い切り取り方がされていることによって、
「俺、初めて月に行ったんだ。凄かったんだ」の話を別の愛の物語としての軸でも同時に語ることができていた。
さりげなくその2つの要素が共存していた点は、映画の構成として魅力的だと思う。

映画中盤から、そういう地味で渋い感情表現が濃厚になるが、泣けるヒューマンドラマ的なくどさはない。ミュートの効いたトランペットのようなお洒落感があって好きだと思った。

そういえば、この映画はチャゼルモノでは珍しく、ジャズがかからないが、音のチョイスも良かった。
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