セッション同様、誰にも理解されない孤高の天才が行きついた境地の映画だと思う。
削ぎ落としたシナリオ、作りこまれた宇宙と機械の環境音、もはや大根かと思うほど崩れないライアン・ゴズリングの演技、冷戦時代の緊張感、決して賛美だけで終わらなかったアポロ計画の国内での反応。
この映画の要素全てが、静かに、でも怒涛のように押し寄せてラストに向かうとき、我々観客は誰もがニュースで観たあの月面着陸の瞬間に期待して、あと少しできっとこのよくわからないアームストロングの内面に迫れる!と期待してしまう。
でも決して彼には近寄れない。彼の考えていることはわからない。
それどころか、やたら美しい夢か現実かわからないシーンに吸い込まれてしまう。
この、チャゼル監督映画特有の、観客との間に線を引くような、最終的に裏切られるこの感覚。
なにこの感覚、なんかもはや気持ちいい!!
もう自分でも何書いてるかわからなくなってきたけど、とにかく今回は、これまで以上にこのあっさりした裏切られ方に感動した。
なんといってもあの天使のような長女と、弟達の憎たらしさよ…。