まいこ

ファースト・マンのまいこのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
2.2
娘と月
NASAの上層部から最も自己顕示欲が少ないと判断され、最初に月面に降り立った男ニール・アームストロングの伝記映画。
ニールはX-15の飛行実験の最中、命からがらになりながら宇宙空間で「あること」を感じとる。着陸時にチャック・イェーガーから操縦の未熟さを指摘され、退任へとなる。それでもジェミニ計画の候補として当初選ばれたものの娘の危篤状態から参加を拒否するが、娘の死をきっかけに月へ行くことに執着を持つようになり、宇宙飛行士への参加を決意する。「精神的に健康すぎるほど健康な人で、反面人間的面白みにはまるで欠けた人物。驚くほど事故抑制が効く人で、いかなる場面でもパニくるとか、感情が激すると言ったことがない(wikiより立花隆氏の言葉)」なんて言われているニールの個人的な視点や焦点で物語が進んでいく。

デイミアン・チャゼル監督の作品と合わないような気がしてきた😇

ストーリーは宇宙そのものより、人間ドラマに重きが置かれていて全体的に淡々と暗い。実際の月面着陸の言葉を作中で聞けた時の瞬間はかなり嬉しくなった。が、『宇宙へのフロンティア』を超える宇宙への恐れと月面に対する胸の高まりを感じなかった。確かに、映像は美しく、反対運動を取り入れることで現実みが高まり、閉塞的な船体のとてつもなく激しい揺れによって生まれる緊張感もある。ただ、全体を通して人物の感情描写が不足し、史実部分が削ぎ落とされた印象を受ける。彼の冷静で寡黙的な性格(実際と異なる?)が物語の展開のトーンをどん底にしているし、また、娘のアレをソレしたり(本当かどうかは置いといて)、最後のシーンはむしろ好みだけど、宇宙の広大さとそこで過ごす写実的な描写が疎か。実験の連続性が薄く感じてしまい一つのシークエンスが終わったら後引くことなく次!と、本当に最後まで淡々としすぎて見せ場を失ったまま不完全燃焼。宇宙開発史に触れられるか?!と期待しすぎた。SFというより伝記を読むぞ〜って気でいるといいのかも。でも、観終わっても伝記系の肝であろう彼がどんな人だったのか、という点においては鑑賞前も後も変わらない。あと個人的に嫁が好きじゃない。夫に対する不安と心配から色々言っちゃうんだろうけどそのあとの手のひらクルーな感じただただ苦手……。
総じて、ライアン・ゴズリングが行きて帰りし物語って感じだった……。
うーん、『APOLLO11』観なきゃ。

笑ったところは唯一宇宙飛行士の訓練シーン。ザ・タイムショックは三半規管いじめ倒してるしそ第1章の頁数長すぎ。その訓練も全て宇宙空間でのフラグ回収に繋がるのは観ていて興味深かった。

星条旗シーンがある、ないで揉めてたのはなんだか悲しい話だなぁ。

『GoT』のマンス・レイダー役のキーラン・ハインズが出演されていてアハ体験。


On Damien Chazelle’s 2018 Neil Armstrong drama “First Man,” Nolan raved, “It’s a masterfully staged re-creation of the space program with utterly compelling physical detail and layers of cinematic immersion that command credence and ensure that the radical and intensively subjective nature of Chazelle’s point-of-view comes as a gradually unveiled shock.”
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