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冬の旅のoのレビュー・感想・評価

冬の旅(1985年製作の映画)
3.4
18歳のモナが片田舎を目的を持たず一人で放浪する話。

同じように放浪する女性の物語だった『ウェンディ&ルーシー』ではルーシーの勤労意欲はあるが居場所が得られない状況を描いていて、包摂性を欠いた社会の問題が主題だった。
それに対してモナはヤギ酪農の家で住処と仕事を与えられるけれど仕事をサボって温厚な家主に咎められると「楽に生きたい」と吐き捨てて出ていくし受け入れてくれた家から銀食器やチーズを盗む。
社会のあり方ではなく、どのような社会であってもそこに属さず自由でいたい、怠惰や盗みを否定するルールからも自由でいたいと望んでしまう個人が主題。
モナが極端な人間にも見えるけれど、平穏に暮らす何人かの女性は「私もモナのように自由に生きたい」と呟く。

通りがかりのある街では祭りの最中で、奇妙な扮装の男達がモナにワインを浴びせかけ、モナは悲鳴をあげる。コミュニティの祭りの盛り上がりの気持ち悪さを描いていて素晴らしい。

戦争中上陸した連合軍が持ち込んだ木箱に付着した菌によって枯れていく木。
自由と引き換えの困難。
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