Bittttcha

冬の旅のBittttchaのレビュー・感想・評価

冬の旅(1985年製作の映画)
5.0
引きずってる
社会や人間関係から逃げ出した時の自由は孤独そのもので、大学まで出て働かず自ら好き勝手に振る舞う放浪者なんて死んで当然でしょうって個人的には思うのだけど、この映画は本質として自由を希求する我々人間を描いている様な気がします。

モナは映画を通して見ても、右から左へ社会に逆行する様に歩き、感情を言葉にして表すことはなく、ただ分かるのは死ぬ瞬間泣いていた事だけです。
その反面、モナに出会った人たちは、自由奔放な彼女と過ごして当たり前の生活に違和感を覚えたり、自分の考えと違うから憤ったり、彼女の行く末を心から案じたりします。臭くて汚くて目を離したら消えてしまいそうな勝手な彼女との出会いを機に、それぞれ語り出すのです。僕には、皆がモナを羨ましがってるように感じました。真に自由になってしまった彼女をみんなが羨ましそうに見て、心がざわついてる様に見えます。気付かないうちに見えない様に隠してた感情を思い出した感じ。自由への希求と社会の歯車の間に揺り戻されてソワソワしました。でもヒーローは誰にも知られず死んでしまうのです。引きずるわー
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