異文化に憧れて学生の頃から異文化間コミュニケーションに積極的に関わってきたけれど、新鮮さの欠けた最近の日常に飽きてきた僕に新しい異文化体験を与えてくれた作品。
渋谷アップリンクにて鑑賞。
「キャラバン」という言葉を聞いて、日産の車種しか思い浮かばなかったけれど笑、「キャラバン」(英名"Caravan")は”隊商”や”旅の一行”という意味を持つと初めて知った。
ニジェール北部はアイール山脈に住むトゥアレグ族。
彼らの生業は岩塩を運ぶ”塩キャラバン”としてサハラ砂漠の果てからブラック・アフリカの入り口までの三角点(テネレ砂漠〜ビルマ・オアシス〜ナイジェリア・カノ)をラクダと共に巡り一年間分の栗と交換して生活の糧を得て生活している。
朝は氷点下、日中は50度までなる過酷な環境の中、キャラバンの人たちに密着して4ヶ月続くその旅程の取材を試みたデコート豊崎アリサさん。
彼女の初監督作品であるこの作品は、彼女の手により撮影された映像であり彼女の目を通して映る現実と、彼女の体験した出来事が反映されている。
乾季に10年以上振りの雨が降ったり、そこには無限とも感じてしまう雄大な砂漠という自然が横たわる。そこに前もって思い描いている意図的なストーリーは存在しない。
故に、この作品を通してデコート豊崎アリサさんが伝えたかったメッセージは『彼らは時代遅れの失われつつあるキャラバンではなく、未来に向かい希望をもたらすキャラバンである。』ということであり1番最後にテロップにしてDeliverableなものになっていたが、そのテロップが無ければ受け取るメッセージは人それぞれにもなる作品だったと思う。
僕が鑑賞した日には、当事者であるデコート豊崎アリサさんと月間報道雑誌”Days Japan"の編集者石田さんのトークイベントがあり直接お話を伺うことができた。
キャラバンに参加するために仕事を変え、生活を変え、ラクダを購入して、女性1人混じって過酷な世界へ足を踏み入れるとは、すごい。
デコート豊崎アリサさんからは旅をこよなく愛している「自由人」のオーラを感じた^^