空色猫

勝手にふるえてろの空色猫のレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
3.5
中学の頃少し話をしたことがある同級生(イチ)のことを10年以上想いつ続けてる痛いOL(ヨシカ)が、会社の同僚のニに告白されて脳内恋愛と現実の恋愛とで巻き起こる人間関係についての話

ニが果てしなくウザいな…から始まって最後どんな大切なことを言っててもやっぱり結局ウザいという印象を拭うことはできなかった。心根は悪いやつじゃないけど、恋愛対象にはならないみたいなキャラとして確かにうまいと思う反面、とはいえデリカシーなさすぎるし、お前はお前で相手のことを全く見てないし、本当に相手を分かりたいと思ってるやつのすることとは思えないな…と違和感が拭えなかった。
同僚のクルミちゃんは本当に考えていることが分からない。頭が悪すぎて理解に苦しむ。秘密だよと二人だけの会話で打ち明けられた話を、いくら良かれと思ったとしても他人に話さないでしょ。そこにどんな理由があったとしても許せんと思うし、自分で悪いことをしたという自覚もなさそうなのが本当に理解できない。
イチに関して描写が少ないので寡黙なイケメンで自分のことが好きそうということしか分からないけど少なくとも悪いやつではないと思う。
ヨシカに関して、服装がオシャレなところが良い。自分を卑下している割にはイチ君が自分の名前を覚えてない程度で心折れてたのが結局割とお前自分のこと高く見積もってるやんと思わないこともない。(理想の存在としてのイチが好きだったから名前を覚えてないような時点で理想のイチと違った→ショックというのもわかるけども…)10年我慢したならこっから新しくちゃんと関係築くチャンスだろとどうしても思ってしまう。
皿洗ってるヨシカにはめちゃ共感してしまう。
松岡茉優さんのリアリティある演技もコメディ感のある演技もできるところはとにかく凄いと思う。

勝手にふるえてろという言葉は過去の自分との決別なのだろう。あんまり説得力は感じなかったけれど。

全員が相手を見ようとしてないように思うし、僕にとっての好きは相手のことを知りたい、話したいと思うことなので、この一方的な好意の押し付け、受け入れて欲しい気持ちの押し付けみたいな感情がよく分からない。
最後に自分を見つけてくれているニとの現実のコミュニケーションの世界に足を踏み出す訳だけど、そもそもとしてどの登場人物にも違和感、不信感が強すぎるせいかなんのカタルシスもなく、納得できないままで、視聴している僕は置いてけぼりになった。

映画の演出面では、内面の思考を町のモブとの会話(妄想)で語らせたり、唐突なミュージカル感とか、ケレン味が強くて面白かった。

好きではないけどアレコレ話したくなる映画ではあるので、良い映画なのかもしれない。
空色猫

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