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コロンバスのsimaoのレビュー・感想・評価

コロンバス(2017年製作の映画)
3.9
十字架もドアも時計も、中心からずれています。しかしサーリネンのこの建物は、非対称でありながらバランスを保っています。
冒頭に登場し、その後も何度か使われるこのセリフ。この作品のメッセージがここに集約されているんだと感じました。
愛を知らないまま育ち、父親への理解ができない状態で終わりのない看病をしなければならない男と、母親への愛情はあるがどこかお互いに依存し縛りあって、夢へと走り出すことの出来ない少女という、一見対称的のようで、でも非対称な男女の友愛の物語。
まず、建築物が言うまでもなく美しい。そのコントラストとして揺れ動く人間模様がより強調されて引き込まれる。
建築物は壊れるまで変わることがないが、人の心はそうじゃない。
きっと、寄って離れて、崩れて直して、そうやってバランスを保っていくんだと考えるきっかけになった。
良い映画。
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