ヘイミッチ

コロンバスのヘイミッチのレビュー・感想・評価

コロンバス(2017年製作の映画)
5.0
まず構図が素晴らしくってモダニズム建築の写真集を捲るよう。でもそれだけじゃなくストーリーもいい。

集中力と興味の話が面白くて、最近の若者の本離れは本を読む集中力が衰えてるからという人がいるが、そうではなくその本に書いてあることに興味を持ってないからだ。と。だから好きなゲームを朝までやる方が百倍楽しいし、そのゲームのアートブックなら喜んで読むだろう。物事の原動力は全て興味なのだから。

最近自分の興味の底が見えることが多くて、例えば読みたいと思って買った映画のパンフレットを読まずにいる時とか、そこまでその映画が好きではないのかと悲しくなったり。

かと思うと、半年前は読めなかった本が今読むと面白くて朝まで読んじゃったりして。そんな時に自分の興味が広がったことを知ってとても嬉しくなる。

この映画自体もそうで、ついこの間までは気になるけど結局一生見なさそうな映画ってイメージだったのが、日々の小さな関心の積み重ねで興味を持つに至って、蓋を開けてみたら素晴らしかった。そしたら今度は小津監督作が気になって、、、。そうやって興味は広がる。

ふと興味を持った瞬間に新しい世界が開き、それがいつの間にか人生の道しるべになってる。これは夢を持つ人なら誰もが経験する事象だろう。それがこの映画の主人公にとってはモダニズム建築だった。

異なる状況にある男女の出会い、切り離せない家族関係と将来の悩みが絡み合ったドラマが過不足なく、現実相応に描かれるのが良い。

主人公と年齢が近いのもあってかものすごく親身に感じてボロ泣きしてしまった。

なによりヘイリーの自然な演技がとても魅力的だった。