このレビューはネタバレを含みます
監督はネオ・ノワールだと言っている。リリーを演じたアニャ・テイラー=ジョイは、自分の役を「ファム・ファタール」だと考えているという。主人公の1人であるアマンダは、何の感情も覚えることの出来ないというサイコパスの設定だ。
上の情報だけ見れば、数多あるサスペンス映画の一つだと思われるだろうが、蓋を開けると完全に青春映画だった。
昔の友達2人が再開し、友情が芽生えて、お互いの大切なものの為にぎこちないながらも戦おうとする。ただぎこちないから、やはり事は上手く展開せず、やがては悲しい結末が待ち受ける。
サスペンスにしては、あまりにも登場人物の心情が繊細で、サスペンス映画特有の不条理さは全く感じない。緊張感はあるが、それよりも主人公たちの人生が上手くいかない事への焦ったさ、怒り、そして悲しみが伝わってくる。
瑞々しい心理ドラマだけど、ハラハラする部分もあり、確かにサスペンス映画のようにスルスルと観れてしまうのは監督の手腕の高さによるものだろう。それでいて笑えるのだから凄い
いやー、良いものを見た。見るタイミングが違ったら結構ボロ泣きしていたかもしれない