YossyHOMME

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のYossyHOMMEのレビュー・感想・評価

5.0
この頃の映画(特に洋画)では強い女性像がよく描かれる。それは時代が要請した結果でもあり、それ自体は歓迎すべきことだ。一方で「私たちは”強く”ないとダメなのか? "強く"なければ戦えないのか?」という疑問符も浮かぶ。
女は長い間、怒らず、従順で、にこやかでいろと抑圧され続けている。だから心身ともに強い、あるいは好戦的な女性像が抑圧へのカウンターとして機能するし、そういう女性像が(少なくともフィクション作品の上では)私も好きだ。けど、それって「男の強さ」をなぞるものではないだろうか。
この作中のキャサリンは、最初から最後まで決して強い女としては描かれない。愛想が良く、上品で、人を怒鳴ったり罵ったりするのは恐らく好まないだろう。そうあれと抑圧されてるのではなく、彼女自身はそういった暴力性のある行為を忌み嫌うのであろう。そして国家を相手に戦いを挑んで勝利する。
現実には本心で怒鳴り罵りたくない人は性別を問わずいて、そういう人は必ずしも迎合的とも限らない。不正義に抗う人も、権力と立ち向かおうとする人もいる。でも、そういうロールモデルは驚くほど少なくないのでないか。彼女のような暴力性と無縁でいて決して強いとは言えない抵抗者の物語がもっと描かれるべきではないか。。
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