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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のinuのレビュー・感想・評価

4.6
泣いた。極めて善良な映画だ。特に今の日本においては誰もが見るべきだと感じた。ジャーナリズムとは何かという議論はよく見かける。レトリックを骨くりまわし、いろいろな見解が並ぶだろう。しかし、何が最もその価値を伝えるか。それは、間違いなく事実であり、事実としてあった「ペンタゴン文書」にまつわるこの映画を観るのが最もわかりやすいだろう。映画の中で訴えられる「報道の自由を守るただ一つの方法は 報道することだ」「報道が仕えるべきは国民だ 統治者ではない」という報道の自由の原則は権力に"忖度"して何事も批判的に伝えられない現在の日本社会で改めて捉えられるべきものだと感じる。近年耳にする政権にまつわる事案はどれも歴代内閣なら辞任に追い込まれるようなものばかりだが、彼らは辞任どころか問題発言を繰り返しながらその椅子にでかでかと座り続けている。驚くべきことだ。この映画を観て改めてジャーナリズムを見直し、権力を監視するのは国家というものに属する我々のあるべき姿だということを再認識していく必要があるのではないだろうか。グラハム夫人の英断は、彼女自身の正義、世の正義全てを擁護する素晴らしいものだ。
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