えいこ

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のえいこのレビュー・感想・評価

4.1
ジャーナリズムの使命が問われる今だから手にとったのかもしれない。
ペンタゴンペーパーズの存在やスクープについてもほとんど知識がなかったが、充分楽しめた。ただ、知識があればさらに楽しめる。

事実と主張とエンターテインメントのブレンド具合がさすがスピルバーグ。想定してなかったサイドストーリーが、主人公ケイの描き方。銀行や投資家、会社上層部や弁護士という男性社会と、家を中心にした女性の社会がわかりやすく分断されており、夫の死によって社主のポストに就いたケイが、迷いとまどいながらも誠実に決断をしていく様子を、メリル・ストリープがリアルに演じている。

時代は進んでいるが、現在も同じ。紳士的な部下たちは、口には出さないが、「向いてない」「女だから勝てない」という本音を表情やため息でそれとなく伝える。自分でもそう思ってるだけに、それは本当に心に刺さる。自身の後ろ盾となるトップの決断を、様々なやり方で求めてくる部下たち。誰の意見を信じ、誰を切るか。
その判断基準が、ひとりの母として、人間として、報道に携わる者として、という本質的なものであったこと、それが勝利の要因となったのが後味のよさに繋がっている。

新聞が刷られていく様子は、いつもドキドキワクワクする。
えいこ

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