紅蓮亭血飛沫

シャークネード5 ワールド・タイフーンの紅蓮亭血飛沫のネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

シリーズが続く度に、悪ノリを塞き止めるブレーキが緩んでいくシャークネードシリーズ。
遂に5作目まで到達したということもあり、4作目以上にとんでもない混沌っぷりが・・・。
と、思いきや意外にも意外。
むしろここまで来たからこその原点回帰、ともいえるスローペースっぷり、特徴に乏しいシャークネード描写が強い本作。
一体どうしたんだシャークネード。
あなたはもっとやりたい放題やっていくスタンスを強調していく映画だったはず。
一体どうしたんだ・・・。

中盤までそう感じていましたが、中盤以降になってからはその心配も杞憂に終わりました。
まず、シャークネードの中心は別の場所へとワープできる異次元空間であった、という事実が判明し、世界各国を渡り歩くフィン達。
遂には日本にまでシャークネードが、彼らの毒牙が迫ってきました。帰って下さい。

次に、有名映画のパロディ。
というかパクリに近いぐらい隠す気も無いその姿勢が、何度も何度も襲い掛かってきます。
もう原作へのリスペクトがあるのかないのか、むしろやられた原作側も苦笑いするか、ここまで馬鹿馬鹿しい描写だらけともなれば笑って許してくれるんじゃないか、というぐらいの自重しない造語のオンパレード。
呆れるほかないともいえますし、あれこれと手を伸ばしていく縦横無尽っぷりに一周回って楽しくなってくる不思議もあり。
兎にも角にも最早お手上げです。降参です。

本作はシャークネードによるあれこれというよりも、ここまでシリーズを引っ張ってきた“主人公・フィンの家族”に焦点が当たっているのが大きな特徴です。
これまでのシリーズもフィンの家族を思う強い意志を通してドラマを展開していましたが、それらを食ってしまうぐらいシャークネードによる描写・被害・カオスっぷりが強かったため、フィンの家族云々は結局のところ舞台装置程度にしか見ていませんでした。
そんな家族が、本作ではシャークネードによってフィン以外全滅。
というか地球自体が世紀末レベルの大被害に見舞われます。
最終作に繋ぐ一歩前というのもあり、シャークネードシリーズのファンならばある意味衝撃的な展開といえるでしょう。

シャークネードによるあれこれ・被害がこの作品の醍醐味ともいえますが、このシリーズ通して描かれるフィンの家族によるはちゃめちゃ珍騒動も大きな個性である事は、ここまで鑑賞してきた方なら周知の事実。
幾度と無く体感してきたシャークネード、しかしその度に乗り越えて見せた彼らが次々と退場していく様は楽しくないといえば嘘になります。
・・・ていうか、結局のところフィンの妻にしてサイボーグと化したエイプリルが全部解決してくれるんで最初からあなたが全部やれよって話なんですけどね!!

ラストでまさかのドルフ・ラングレンが出演し、バック・トゥ・ザ・フューチャーオチ・・・。
いやぁ、凄いですね。
天晴れです。
ここまで突き抜けてくれたなら、もう目くじら立てる程の感情も浮かびません。
もう何やろうがビビらないし動じないぞ、と構えていても反応してしまうその引き出しの選別。
あらゆるネタを用意して我々を楽しませてくれる(呆れさせてくれる)、このしょうもなさ。
なんだかんだで面白いですよね、シャークネード。
常に我々の予想の斜め上を狙ってくる徹底振り、その手腕。
見事というほかありません。
ここまで来た以上、最後まで付き合いますとも。
タイムスリップするなり宇宙戦争するなり異世界転生するなり、もうなんでもござれです。

ただ・・・・・・・・・。
これ、最早サメ映画じゃないのでは・・・?
・・・今更ですね、はい。