こーいち

アネットのこーいちのネタバレレビュー・内容・結末

アネット(2021年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

2022/04/02

『退屈さに耐えるだけの140分。』
『登場人物たちが何を目的、目標にしているのかわからない。』
『終始、何を見させられているのかわからないシーンが続く。』
『何度も同じ曲を聴かせられるのが苦痛。』
『演出や合成がチープ過ぎて笑うこともできない。』
『子供の人形がずっと不気味。』
『エンドロールの曲も意味不明。』

そんな映画でした。


今回、レオス・カラックス監督の作品を初めて鑑賞しました。

私個人としてはこの作品は全くハマりませんでした。


この作品で監督は何を表現したかったのでしょう???
それが最後まで理解できずに劇場を後にしました。


冒頭、スタジオで男性がレコーディングをしているところから
映画が始まっていきます。
そこで曲が始まり、
シームレスにミュージカル映画に突入していきます。

この最初のシーンから疑問なのですが、
あの冒頭のレコーディングシーンで歌っていた男性は誰なんでしょうか?

その後の物語でも登場することはなく、
何も触れられていません。

冒頭で歌い始めた男性とは全く関係なさそうな雰囲気で
アダム・ドライバーが演じるヘンリーが登場し、
そこからミュージカルがスタートします。

もう最初から一体どんな状況なのかさっぱり理解できません。


劇中、ヘンリーが1人芝居で行う舞台の様子が何度となく映し出されます。

ここで表現されている笑いも全く理解できません。

日本人の感性と海外の人の感性が違うからでしょうか?
笑えるシーンでもなければ
感動できるシーンでもない。

ただアダム・ドライバーが1人で舞台上を動き回っている姿を見させられているだけ。
そして、そのシーンが長く、カット数も少ない。
かなり退屈。

『一体、何を見させられているのだろうか?』
という疑問しか湧いてきません。


この映画は最初から最後まで
『この人達は一体何を目的目標として行動しているの?』
ということがわからないままストーリーが進行していきます。

そのため、
どの人物に対しても感情移入することもできず、
感動できる場面が全くありません。


そして、そうした目的目標のわからない登場人物たちは
何度も同じ歌を歌って気持ちを表現します。

その何度も同じ歌を聴かせられていることが
かなりの苦痛。

・ストーリーの進行速度が遅い
・一つのシーンが長い上にカット数が少ない
こうした状態にある映画でそれをされるのは
苦痛でしかありません。
何度も同じ歌、同じメロディー。
聴いているのがシンドい。


視覚的な演出もチープで見ていられたものではありません。
映像の合成も80年代の映画を思わせるような
雑な映像や画像の合成。

船の上でヘンリーとアンの二人が踊るシーンがありますが、
その船の演出もチープ過ぎる。

あえて舞台を生で見ているような演出にしているのでしょうか?
ポスターや予告映像で見せてくれたような
大嵐の中、華麗に踊っている二人はどこにいったのか???

チープに作られた船のセットの上で
二人が歌い踊っていて、
背景に映像として大波を映し出している。
この演出は迫力を感じられるのでしょうか?
感動できるのでしょうか???
疑問が耐えません。


二人の間に生まれたアネットは
生まれたからずっと人形として描かれます。
そして最後の面会にシーンになって初めて生身の人間になります。

これはヘンリーが今まで
道具=人形=人間が勝手に作り出したもの
として娘を利用していたが、
娘にも自分なりの意思が芽生えたことで
人間となった
ということを表現したいのでしょう。


それが最後になってわかるのはいいのですが、
劇中、ずっと
『娘が人形として映し出される』演出は
かなり不気味です。
これもあえてそれを狙っての演出なのでしょうか?
ホラー映画なのか?と思えるような演出だと感じました。

・二人の間に生まれた娘は人形として描写される
・殺したアンの幻影が現れて語りかけてくる
こうした描写は不気味で見ている映画のジャンルが
よくわからなくなりました。


そして、
最後の最後にエンドロールの最中で
ライトを持った人たちが歌を歌いながら
夜の森の中を更新していますが、
あのシーンは一体なんなのでしょうか???

『映画が気に入ったら友人に勧めてください。』
とかなんとか歌詞がありましたが、
あれはウケ狙い?
それとも大真面目?
意味不明です。


以上のようなものを延々と見させられる140分間。
とても退屈でした。


ミュージカル映画あるあるとして
120分を超える本編時間のものが多いですが
今作も140分あります。


140分もの時間を使って表現した結果が
こんな退屈なものなのでしょうか?
カラックス監督は一体何を表現したかったのか?


同じミュージカル映画の「レ・ミゼラブル」は
158分あります。

しかし、
レ・ミゼラブルはその長い本編時間を全く感じさせないほど
多くの感動と高揚感、
そして本編鑑賞後の余韻、
思わず語りたくなるような登場人物たちの心の動き
を与えてくれました。


そうしたミュージカル映画に比べると
今作は驚くほど何も感じられなかった。


感じたのは『退屈さ』と『苦痛』だけ。


140分間、終始眠かったです。
こーいち

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