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アネットのぬのレビュー・感想・評価

アネット(2021年製作の映画)
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オムニバス映画『TOKYO!』の中の一作『メルド』でレオス・カラックス監督を知り、そのアグレッシブなユーモアの虜になったため本作を鑑賞。
『メルド』に比べれば、かなり普通の映画だった。

子どもの人格を尊重せず搾取する親、というありがちなテーマを扱いつつ、そんなテーマを娯楽(映画)として消費する私たち自身の姿をも意識させる、重層的な構造の作品であるように思う。
最初に「これは映画です」と明言したり、オープニング・エンディングでキャストが勢揃いして歌ったり、といった点に加え、いかにも作りものめいた演出や、歌うことが滑稽に見え感情移入を妨げるような場面でも歌う、といった特徴も鑑賞者に作品世界との間の距離を感じさせ、メタ的な思考を促すための仕掛けなのかもしれない。
ミュージカル映画は舞台作品が原作だったり、後に舞台化したり、という場合も多いが、『アネット』は映画ならではの微妙な匙加減によって成り立っていると感じる。
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