かがりはるき

リバーズ・エッジのかがりはるきのレビュー・感想・評価

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)
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(ネタバレなしです)
2018/2/2(金)、Filmarksの試写会にて鑑賞。

まず、岡崎京子先生のあの原作をうまく映像化できるの? と疑問に思う人も多いでしょうが――原作の再現度は相当高い、と思いました。
ストーリーや台詞回しだけじゃなくて、ビジュアル面、とくにキャスト陣がすごい。「うわ、原作のキャラクターそのままじゃん」と何度も息を呑みました。それも出演者の1人や2人じゃなくて、メインキャストみんなに、そういうハッとさせられる場面があった気がする。衣装やメイクや撮り方なども工夫してるんだろうけど、役作りがなければああはならないはずです。二階堂ふみさん、吉沢亮さんをはじめとするキャスト陣に拍手。

もちろん、原作の再現度が高い=映画の出来が良い、とは限らないわけですが――。
僕は鑑賞前日に原作を再読したので、原作との相違点を確認しながら観るような感じになったのですが、本作の場合、原作を予習(または復習)せずに観たほうが良かった気がします。
というのも、相当に原作に寄せた作りになっているため、「おお、原作通りだな」と思う割合が高すぎて、1本の映画作品としてどうなのか、ちょっと冷静に判断できませんでした。
なので、これから観るつもりの人には「原作を読んだことがあってもなくても、とりあえず手ぶらで観に行って!」とアドバイスしたいです。

ただ、原作をおさらいしたばかりの僕でも、「おっ」と思う映画独自のシーンはいくつかありました。
わりと賛否が分かれそうな部分もありますが、個人的にはけっこう好印象です。

最後に、主題歌、小沢健二「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」について。
この曲の歌詞は昨年末から小沢氏のサイト「ひふみよ」で公開されてて、その内容がファンの間で話題になってましたが、どんな曲になるのかなかなか想像がつかなかった。
で、実際に聴いてみたら、やっぱりこちらの想像の及ばない方向性の曲調と歌い方でした。
エンディングにこの曲が流れることで、作品のもつ意味合い自体が変わってしまいそうな、それくらいパワーのある曲だと思います。
一見すごく軽やかなんだけど、そこはやっぱり小沢健二、一筋縄でいくはずがない。美味しいコース料理の〆にでてくる口直しのデザートのようでいて、実はこのデザートが一番フクザツな味をしている! みたいな。
もちろんこの曲単体で聴いても間違いなく良いはずなんだけど、『リバーズ・エッジ』のエンディングに聴くことで初めて感じられることもあるはずです。少なくとも僕には感じるものがありました。
だから小沢ファンの人たちは観ましょう、ぜひ。
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