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リバーズ・エッジのsawai0のレビュー・感想・評価

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)
4.0
すばらしい。

まず一番に違和感を覚える画面比率については「通常の横長ではなく、横縦4:3のスタンダードサイズで撮影しました。登場人物たちを取り巻く閉塞感を伝えたかったんです。」とのこと。

未読だが序盤は原作踏襲故?と思われる古典的マンガ表現に薄ら寒さを感じたが次第に気にならなくなる。それは合間合間に挟まれる彼らへのインタビューと相まって、この映画をただのドラマに終わらせない。

インタビューはほとんどが俳優たちによるアドリブであり、自身と役柄が重なり合う部分を通してのみ答えている。監督曰く(漫画原作である本作に)血肉を通わせるための手法。
それであれらの答えを表現できる俳優たちがすごい。

ずっと虐められ笑われ、周囲の奴らを痛めつけること復讐することを常に胸の内で唱えてきた山田がUFOを呼ぼうと念じる行為の不可侵さ、尊さのようなものに胸が締め付けられる...

意中の人からはある種の虐げを受け、物語の中心とも常にすれ違い、誰とも何とも分かち合えない田島カンナ。インタビュー最後、どんな時に幸せを感じるかの問いに答えられず笑うしかできないあのカットがすばらしい。

壮絶な虐げを2度も、しかも一晩に2度も受けたルミをそれでも死なせないことに、何かとても惨さを感じる。

ハルナのインタビューがまたすばらしい。
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