わか

リバーズ・エッジのわかのレビュー・感想・評価

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)
3.4
勝手にキラキラ青春映画かと思って観たら、死臭に満ち満ちた映画でした。「ヘルタースケルター」「チワワちゃん」と同じようにぐっとわたしの心に刺さるようなテーマ。きっとわたし岡崎京子さんの世界観が好きなんでしょうね。さて今回は長くなりそうです…


⚠️この先若干のネタバレがあります⚠️



人間は「死」をもってして初めて「生」を知ることができる。「死」に現実味を感じられない登場人物たちは毎日死臭を探して生きている。その中でも最も「死んでいた」のが主人公のハルナ。彼女の放つ死臭が山田くんやこずえ、観音崎くんを惹きつけたのでしょう。河原の死体、猫の死体、いじめ、どうでもいいセックス、たばこ、妊娠中絶、過食嘔吐。何をしても「生」の感覚が掴めない人間たちはその行為を加速させていくことしかできない。この作品内で唯一「生」の獲得ができたのはハルナだけだと思います。ほかの人たちはリストカットと同じような一時的な安心感だけしか得られてない気がする。最後にそれまで何も感じられなかったハルナが初めて泣く場面が彼女の「生」の獲得を見せてくれたのが良かったです。


ーあたしが1番好きなのは観音崎くんだよ
ー山田くんに編んで欲しいって頼まれちゃったの
ーハルナには避妊したのにわたしにはしなかったじゃない
ーわたし若草さんのこと好きよ
ー生きていた時より死んだ今の彼女の方が好き

この映画の中で出てくる「好き」という言葉は山田くんとこずえのもの以外全て嘘だった気がします。愛されたい相手に愛されない、この喪失感や苛立ちは誰かを傷つけることでしか埋められないのでしょうか。みんなが狂った理由はすべてこれな気がする。
でもみんな普段はそういう狂気を隠して生きてるんですよね。「世の中素敵ぶって楽しぶってるけど、ざけんじゃねえよ」というこずえの台詞、その通りです。

演技がすごい!とは言えないですが、俳優陣もみんな本当に適役だったなぁと思います。やっぱり森川葵さんめっちゃ好き。この可愛いのに(可愛いから?)毒がある感じ、彼女独特の魅力ですよね。

インタビューシーンに関してはあまりまだ考察できていないので、もう一回観てみようと思います!
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