おおつか

アイスと雨音のおおつかのレビュー・感想・評価

アイスと雨音(2017年製作の映画)
4.5
冒頭、MOROHAのアフロがカメラ目線に語りかけてくる。この映画はいきなり第四の壁を破壊する。一瞬にして観客を物語世界に引き込むと、若者達の1ヶ月を74分間追体験させてくれる。時にMOROHAの歌唱がインサートされる独自の世界観は、現実と虚構が曖昧になる。しかし、これは紛れも無く“現実”の物語。舞台公演中止という現実を突きつけられた若者は、戯曲の人物に投身し、“命を燃やす”。

命を燃やしているのは『アイスと雨音』の登場人物だけでは無い。演じている役者自身も、音楽を鳴らすMOROHAも、ひいてはそれを撮影しているスタッフも、この映画を作るに至った松居監督も、命が燃えていることが伝わってくる。
ここでの“伝わる”というのは、「スクリーンから伝わってくる」という月並みな表現では言い表せないもので、むしろ「スクリーンの中に潜む熱を本能的に感じ取り身震いしてしまう」類いのものだ。それは全編ワンカットという手法で始めて達成されるもので、狙ってできるものでは無い、もっと奇跡的で神秘的で、かつ痛くて臭い“何か”だ。

その何かに訳も分からぬまま感動させられる74分間、あなたも体験してみませんか(個人差はあります)

と、この文量から分かるくらい好きになった一本w
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