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パンジャブ・ハイのじゅんPのレビュー・感想・評価

パンジャブ・ハイ(2016年製作の映画)
4.2
パンジャブ、シット!

《麻薬が横行し、一部の権力者により売買が黙認されたインド、パンジャブ州。ドラッグ常習を公言し若者から絶大な支持を得るカリスマシンガー、弟が中毒に陥ったことから体制に疑問を持つ警察官、移送中のブツを持ち逃げしたため追われる身となった元ホッケー選手、若者の間で薬物が蔓延する現状を嘆く医者。クスリに翻弄される4人の行動はやがて交わり…》

ドラッグ×群像劇と言えば、『レクイエム・フォー・ドリーム』が思い浮かんだけど、勝るとも劣らない良作だった。

『レクイエム・フォー・ドリーム』がクスリに頼ってしまった個々人の転落を見せつけ、その破滅っぷりをもって抑止としていたのに対し、今作は街の闇に深く深く潜り込んでいく、”構造”への問題提起。

問題意識を持てたとして、どう抗えばいいのか絶望してしまうような巨大な産業のシステムに、でもやるんだよ精神でSUCKER PUNCHを当てていく気概。

アーリアー・バット演じる元ホッケー選手と歌手が出会ったあたりからの、各エピソードがひとつに纏まっていく流れは、効果的なカットバックによる見せ方も手伝い、社会派なだけでなくしっかりエンタメとして成立していた。

若干のカタルシスと希望を持たせつつ、「悪いやつらを一網打尽にしてすべて解決!」なんて能天気な結末ではないバランスの取れた着地も現実的。

題材が題材なだけに、もっとドラッギーなダンスシーンがあれば…とは思うけど、ツカミのライブシーンだけでもとても楽しい気分に浸れる。
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