コロン

ザ・フォーリナー/復讐者のコロンのレビュー・感想・評価

ザ・フォーリナー/復讐者(2017年製作の映画)
4.0
IRAが絡むイギリスとアイルランド間の深刻な政治問題を背景にしたポリティカル・サスペンス・アクション。重厚な人間ドラマとしても見応え十分。最愛の娘を理不尽に奪われ、冷静沈着な復讐者に変貌して行くクワン、元急進派IRA闘士という過去に雁字搦めにされ、かつての同志の裏切りに煮え湯を飲まされ、最後は破滅させられてしまうリアム(テロ実行犯とは直接関係してなかったのに、身から出た錆びで巻添えを喰らってアウト)。それぞれを完璧に演じたジャッキーとピアースが素晴らしい。特にジャッキーが、内面に葛藤を抱えた哀しい男をこんなにもシリアスに演じきるとは正直嬉しい驚きだった。アイルランド紛争とは何の関係もない東洋人クワンが、娘を奪ったテロリストへの復讐心だけで、この歴史や背景にある怨念を蹴散らして行く、という意味で題名「THE FOREIGNER」はベストマッチだと思う。ラストでクワンの射殺を思い止まったロンドン警視庁のリチャード、ありがとう。クワンが平穏で安らかに暮らせますように。
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