中島晋作

デトロイトの中島晋作のレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.5
キャスリン・ビグローはリアリズムの人である。今作はドキュメンタリー映像も用いるため、かつてない徹底したリアリズム描写が続く。開始5分で戦争映画になる様も圧巻だが、何より恐ろしいのが、モータウン・ミュージックの作用もあり、この映画が娯楽として楽しめてしまうことだろう。しかもオープニングでアニメを使う実験までしている。
感慨深かったのがウィル・ポールター。『ナルニア国〜』での夢見る少年が、こんなレイシストに…という。
凄すぎて1月に見た他の映画が脳内から消し飛んでしまった。ザ・ドラマティックスのメンバー、ラリー・リードはこの事件のあと、世俗的な音楽などもう歌えないとグループを辞めてしまうのだが、似たようなことが映画を見終わった自分にも起こった。もう青春がどうとか、恋愛が云々みたいなタルい映画なんか見る気おきないよ。アカデミー賞から完全に無視されているとこもポイント高し。
中島晋作

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