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デトロイトのhorryのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
3.0
2016年、17歳の黒人少年が自警団を称する男に殺された事件をきっかけに「Black Lives Matter」運動がはじまった。
次々と起こる警官による黒人の殺害。
黒人の命の重さが白人のそれに比べ軽視されていることへの抗議は、今も続いている。

『デトロイト』は1967年を舞台にした作品だが、現在の「Black Lives Matter」を知るための重要な対立を表している。
「Black Lives Matter」という黒人の命の軽視の訴えと、「Blue Lives Matter」(警官の命も尊重されるべきだ)という主張の対立だ。
「Black Lives Matter」デモの衝突では警官も命を落とした。まさに命をかけて彼らは働いている。

こうした勧善懲悪では描くことのできない複雑性がある問題なので、『デトロイト』の映画としての重みには物足りなさを感じた(モータウンの描かれ方も片面的だと思う)。

けれど、延々と続く暴力に充ちた尋問シーン、そこで吐き出される言葉を耐えながら見ることで、「Black Lives Matter」を真剣に考えることができる。
あのシーンが、トランプ政権のもとレイシズムと排外主義が推し進められるアメリカで撮られ、メジャー作品として上映されていることの意味は、とても大きいと思う。

音楽も素晴らしいので、映画館で観るのがおすすめ。
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