ベビーパウダー山崎

デトロイトのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.0
長すぎる拷問のくだり(ジャック・ケッチャムの臭いがする不穏さ)が最高なのは言うまでもないが、そのあとの生活まできっちり撮りきり、安易なカタルシスに逃げず「映画」と向き合い続けるキャスリン・ビグローの豪腕さに唸った。人生は不条理で「私たち」の正しさは何の役にも立たない。真実が不透明な出来事を、さもこれがリアルですよと嘯く作家性こそビグロー。当たり前のようにフレデリック・ワイズマン『法と秩序』を想起しながら見ていると、どの脇の役者も「いい顔」(ワイズマンのドキュメンタリーに出てきそうな)をしていて、個人的には警察署での尋問のくだりが最も上がった。いつかビグローにはシドニー・ルメット的な汚職刑事の物語を手掛けてほしい。