エキストラの使い方がうますぎる。本筋とは関係ない何気ない「つなぎ」のカットがあまりに自然で、マジでその場に行ってちょっと素材で撮ってきましたって言われても信じてしまうくらい巧み。思わずクーリンチェを思い出しちゃいましたね。これは相当がんばらないとなかなか到達できないレベルの演出じゃないかと思う。
モーテルの尋問シーンは中だるみ感あったが、閉鎖された空間の中であそこまで間を持たせられるのはすごい。役者たちもさぞかし演りがいがあったに違いない。
モーテルのシーンが始まるまではデトロイトで起こった暴動の事象そのものにフォーカスが当てられていたのに、その１つの事件としてのモーテル尋問事件に尺が割かれ過ぎたせいで、どっちかというとそっちメインのような気持ちになってしまったのが残念なところ。ああいうヤベェ警官が爆誕しちゃった背景には勿論、デトロイトの暴動があったのかも知らないけども「はえ〜デトロイト暴動やべ〜」よりも「警官クソ！！」っていう気持ちが勝っちゃうのはちょっと。警官の役者さんもハマりすぎて「こいつ、暴動が起きなくてもいつかなんかやらかしたんじゃないか」的なサイコな感じちょっとあるし。平常時との対比も欲しかったところ。
それにしてもあんなやばすぎるやつを野放しにするデトロイト市警、いかんでしょ。まあ裁判が開かれるだけ障害者の容疑者に平気で飛び蹴りする殺人の追憶の刑事よりはマシな気がするが。
