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あさがくるまえにのりのレビュー・感想・評価

あさがくるまえに(2016年製作の映画)
3.2
臓器移植。提供側と被提供側を描写した作品である。どちらも精神的な葛藤を経たうえで、臓器を提供すること、そして提供されることに承諾をしている。
どちらにも人生がある。突然、息子の死を宣告された提供側。幸福に満ちた日常が突然、不幸のニュースで終焉を迎える。交際していた恋人。別れの挨拶をすることなく、最後に見た表情を何度も反芻する。一方、被提供側はどうか。彼女も葛藤している。「他人の心臓を用いてまで生きるのは自然の摂理に反する」と述べる。しかし、医師や家族の勧めによって手術を受けることを決意する。
双方、置かれている状況について描写しているのだが、少々物足りない。提供側で言えば、恋人や友人を、そして被提供側でいえば、元カノ?の描写が不足しているように感じた。もしかしたら、そこは自分で考えろ!という監督のメッセージなのかもしれないが、そこを深堀りしてくれていれば物語に厚みが生まれていたような気がする。
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