K

マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)のKのレビュー・感想・評価

-
『イカとクジラ』の続編のよう。あの子供たちは大人になり、父親は介護が必要なほど高齢者に。
『イカとクジラ』も本作も男達がエディプスコンプレックスを認め、自分で自分を解放することがテーマだ。「父に才能がないとしたら、ただのクソ親父になってしまう。」という台詞が面白かった。ずっと「認められたい」「勝ちたい」と戦ってきた巨人が、実際にはただの大きな影でしかなく実体がなかったら、今までの苦労はなんだったのだろう。ただのクソ親父であってもその時が来たら介護しないといけない。「父は天才だから」「作品に自分の名前をつけてくれたから」と必死でしがみついていた「愛すべき理由」もいとも簡単に崩れる。
日本人にとっては理解し難い家族観。でも、恋人に対してや、恩師、上司に対してこのような幻想と失望を味わった経験がある人は多いのでは。
どんな関係性であれ、本当に愛の力が試されるのは幻が覚めた後から。
K

K