モウドクウサギ

シェイプ・オブ・ウォーターのモウドクウサギのレビュー・感想・評価

4.0
見た目重視、幻想的な噓偽りのラブロマンスが溢れかえって久しい昨今、ギレルモ・デル・トロ監督らしい核心的・本質的かつ鮮烈な作品が届けられた。「美女と野獣」のラストで、野獣がイケメン王子様に戻るくだりで興ざめした残念ながら"まとも"な人にはうってつけだろう。部屋にちりばめられた個々のアイテム一つ一つにもフェティッシュな拘りが詰まっており、映像的にも十分興味を惹く。電球色やグリーンが印象深いカラーリングも、クラシカルな雰囲気に深みを与えている。アカデミー監督賞は間違いなさそうだが、プロットは骨太な一方、意外性に欠け、もう一捻りほしい。アンデルセンの人魚姫は悲劇だが、監督自身が自ら多額の出資をして作り上げた映画だけに、個人の明るい性格を強く反映している。R18→R15に関しては言いたいことはあるが、敢えて・強いていうなら、ハイティーンが観れるという点を前向きにとらえるとともに、この世代の観客が大いに劇場に訪れてくれることを期待したい。