もうトロトロになる美しさ。ファーストシーンから非の打ち所のないカメラや音楽の連なりがすさまじい。
けど、そこらへんの安っぽい映画に堕ちないのは、デル・トロらしいグロテスクな描写と、『パンズラビリンス』のように根本的にこれは悲劇の映画だから。
声に代表される、「かたちあるもの」を奪われた者たちの孤独へ寄り添おうとする。黒人やゲイなど、「社会のかたち」から阻害された人たちが本作では集う。
彼らが求めたのは、水のように、かたちを変えながらつながっていく愛だったはず。
この作品が素晴らしいのは、違いを違いとして認めつつ、愛そうとしている姿勢。
映画のスクリーンを前にすれば、モンスターだろうと圧倒されてしまうという泣けるシーンもある。
