ブラックカフェ

シェイプ・オブ・ウォーターのブラックカフェのレビュー・感想・評価

2.9
2018/3/1(木)平日仕事帰りの夜の回で鑑賞。

アカデミー賞を獲っても、ここまで絶賛されている理由が私にはいまだに刺さってこないため、あえて書いた。

初日にこの映画を観て、私は4つのことを思った。

一つ目。
戦争時代、捕虜にされた敵兵を実験台にするという話は昔あったとよく聞く。
この映画を観た時、これは捕らえられた兵士を半魚人に見立てて、戦争や差別や異種(人種)を描きたいんだろうなという印象だった。
そういう風に見ると、さほど新しくもない設定とストーリーに思えた。

二つ目。
彼女が彼?に恋に落ち、彼?を助けようと必死になり始めた時、そこからとてもイライラした。
なぜ彼?に恋に落ちる?ラブストーリーにする意味が全くわからない。異種のものと心が通えた時の嬉しさは理解できる。誰でも嬉しいものだ。そこから恋愛に発展する理由が描ききれていない。セックス描写を描くのはよいが、プラトニックな部分が描ききれていないと思った。

三つ目。
共感できる人物が全くいなかった。強いて言えば、隣人の画家ぐらい。それでも途中から誰にも共感できない辛さがあった。
半魚人を助けてアパートに連れ帰ってからの無防備ぶり。車を走らせて半魚人を海か川に早く入れてあげればいいのにと思った。なぜそんなのんびり一緒に過ごし、最後は風呂場でラブラブな時を過ごせるのか。
マスターベーションしていた毎日の欲をついに満たすためだけに、捕まる危険も忘れ、水漏れさせてでも彼とセックスする永遠の時間が欲しいのか。殺される危険から逃げてきた人達のすることだろうか。愛する相手が殺されてしまう!という守ろうという気持ちはどこへいった?

私には途中から痛い女の人の話にしか見えなくなっていた。

四つ目
皆の感想は「美しい」という感想が多い。これだけみんな見た目にこだわる時代で、この映画の2人の恋愛は美しい、と皆はいう。それはつまり主人公に共感できると言っているようなもの。
はたして100%みんなはそう言い切れるのだろうか?
目の前に心から愛してくれる半魚人がいたとして、あなたは本当にその半魚人と交わり、海の中に逃げるぐらいの気持ちになれますか?人種が違う人間ならまだしも、異種を愛すいわば宇宙人を愛すことが本当にできますか?


気を悪くされた方、ごめんなさい。だいぶ冷めた感想になってしまいましたが、戦争時代や冷戦時代を舞台にして中途半端なファンタジーを描くのがいつもお好きな監督さんだなと、パンズ・ラビリンスの時と同じく、消化不良の気持ちの感想となりました。

おしまい。
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